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【キャリア】一生ヒラ!?出世しない公務員が増えている理由

近年、昇任試験を受験する人が少なくなっているようです。
わたしは区役所に勤めていましたが、実際、出世意欲のある職員が減っている体感はありました。
地方公務員は、主事→主任→主査→係長→課長→部長といった順に出世していきます。
新卒職員は役所に就職してから数年の間、主事(最も低い階級)として働きます。その後、5年ほど経つと主任への昇任試験を受けることができます。
ところが・・・。
この主任試験を受ける人が少なくなっているようです。
出世すれば給料が上がり、大きな仕事もできるはず。民間企業にお勤めの方や学生の方にとって、公務員の上昇志向の低さはちょっと不思議かもしれません。
そこで今回は、実体験から気づいた「公務員が出世を嫌がる理由」を紹介します。
自由が利かなくなる

公務員に限った話ではないですが、出世するとキャリアの自由度が低くなります。
「人事畑」「企画畑」といった言葉をご存知の方も多いと思います。
民間企業と同じように、公務員も長年にわたって特定の部署に縛り続けられるケースがあります。
階級が上がるにつれて、この傾向は強くなっていきます。
また、行きたくない部署への異動を促される場合もあります。
つまり、出世の結果「好きな仕事」や「得意な仕事」を担当する確率が下がっていくのです。
一方で、主事や主任のような低い階級の職員は、希望する部署へと異動できる可能性が(比較的)高いです。
出世すれば、良くも悪くもいろんな部署から引っ張りだこな存在になるのです。
出世してもあまり給料が変わらない
地方公務員は、出世しても劇的に給料が変わることがありません。
民間は(会社にもよりますが)責任と給料がそこそこ見合っているケースが多いはず。
しかし、公務員は主事から主任になったところで、年収が数%上がるだけです。まさに雀の涙です。
また、管理職(課長級以上)は、管理職手当を貰えるかわりに残業代が出ないため、係長時代より年収が下がることもあります。
コスパを考えたら、あえて管理職の重責を背負いたいとは思いませんよね。
育児と試験のタイミングが重なる

晩婚化の影響で育児と昇任試験のタイミングが重なっています。
特に、東京や大阪といった大都市の公務員に当てはまります。
東京の平均初婚年齢は男女ともに30歳を超えていますが、結婚する時期に昇任試験の受験資格をゲットする職員が多いのです。
つまり、アラサーになると「出世を取るか、家庭を取るか」の選択を迫られるわけです。
特に、職員数の半分を占める女性職員にとって大きな問題です。
子育ては時間や労力、ストレスがかかります。女性職員が出世と家庭を天秤にかけたとき、家庭を選ぶのは合理的な選択でしょう。
中間管理職の仕事がつらすぎる
中間管理職の仕事が難しくなっていることも理由の一つです。
平成の途中まで、部下に対する厳しい指導は問題になりませんでしたが、令和ではパワハラ事案として吊し上げられます。
そんな事情もあり、中途半端に出世すると部下・上司の双方に対する細やかな気遣いが求められます。
下からは突き上げられ、上からは仕事を押しつけられる。そんな日々が続きます。
また、中間管理職はマネジメントだけではなく、手を動かさなければいけません。
係長であれば課長の、課長であれば部長の補佐役として、書類の作成などの事務仕事をするのです。
マネージャー兼プレーヤーを求められれば、悩みの種が増えていくでしょう。
目標になるような上司が少ない

憧れになる上司が少ないことも大きな要因です。
転職サイトなどのクチコミを見ていると、あらゆる役所が抱える問題と言えるでしょう。
この問題の根っこにあるのは、管理職の「成り手不足」です。
人格を問わず、事務処理能力の高い職員を根こそぎ管理職にしています。
それゆえに「あの人を目指したい」とか「背中を追いかけたい」などと、尊敬の対象になる上司が少ないのです。
逆に「なんであの人が部長?」とマネジメント能力に疑問符がつくようなパターンは多数みられます。
そして、皮肉なことに人望と能力を兼ね備えた職員は、昇任意欲がなかったりします。
「メリットとデメリットを比較する合理的思考」を持つために、出世する意味を見出せないのかもしれません。
結論:出世するメリットが少ないことが大きな要因
今回は公務員が出世を嫌がる理由を5つ紹介しました。
メリットよりデメリットが大きいので出世を嫌がる。シンプルな理由ですね。
生活の質を重視して、出世の優先順位を下げる。
公務員に限らず、現代のサラリーマンにはそんな人が多いはずです。
そして、役所は古い仕組みを引きずっているため、職員の価値観とのズレが目立っているように思います。
人事院(人事システムの改正などを行う組織)は賃金制度の改革を試みていますが、出世のメリットを明確に示さない限り、管理職不足は深刻化していくでしょう。